ちょっと落ち着く話
Column

農家の泣きどころ

農家A

「おたく、たくさん田や畑の土地があるから、お父さんの相続で税金払わなアカンのちゃう?」

農家B

「いやいや、うちは全部 生産緑地やから、農地の納税猶予制度を使えばOKなんよ」

農家A

「でも、納税猶予をすると、宅地に転用したりするとその時に一気に税金がかかったりするやろ?」

農家B

「えっ!?じゃあ田んぼは止められないの?」

農家A

「まぁ、相続税と利子税を払えば可能だろうけど・・・」

農家B

「そんな・・・、のうふ はツライですわ」

先祖伝来の農地を農業目的で使用しているにもかかわらず、通常の宅地並みの相続税が課税されれば農業を継続することができなくなります。農業を継続する相続人がいる場合には、相続税の納税猶予制度が利用できます。しかしながら、農業継続を止めた場合に納税猶予された相続税と猶予期間の利子税が課税されるなど注意点も多い制度です。

そんな時は

農地の納税猶予制度で解決!

農地を相続した場合の課税の特例(相続税の納税猶予制度)

相続又は遺贈により取得された農地が、引き続き農業の用に供される場合には、本来の相続税額のうち農業投資価格を超える部分に対応する相続税が、一定の要件のもとに納税が猶予され、相続人が死亡した場合等に猶予税額が免除されます。

納税猶予を受けるための要件

以下の被相続人から農業相続人への相続又は遺贈であること

被相続人

1.死亡の日まで農業を営んでいた者
2.生前一括贈与(贈与税納税猶予)をした者
3.死亡の日まで特定貸付けを行っていた者(※)

↓相続又は遺贈

農業相続人

1.相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後も引き続き農業経営を行う者
2.生前一括贈与を受けた受贈者
3.相続税の申告期限までに特定貸付けを行った者(※)

特例の対象となる農地

被相続人が、農業の用に供していた又は特定貸付けを行っていた農地(※)で、次のいずれかに該当するもの
・被相続人から相続により取得した農地で遺産分割がされているもの
・贈与税納税猶予の対象となっていたもの
・相続の年に被相続人から生前一括贈与を受けたもの

(※)特定貸付けとは、農業経営が困難な場合に一定の要件のもと農地を貸し付けることで農業経営を継続していると取り扱う制度です。特定貸付けを行っていた農地は市街化区域外の農地に限られます。

納税猶予期限の確定

相続税の納税猶予を適用することができても、原則的に終身営農という問題がつきまといます。これは、農地を相続した農業相続人が将来亡くなるまで農業を継続しなければ、納税猶予が打ち切られるということを意味します。以下に掲げる事由が発生した場合には納税猶予期限が確定します。つまり、いつまで納税猶予が続くのかは農業相続人の死亡までは確定しなかったのですが、以下の事由が発生したときに納税猶予の期限が確定し、もう納税猶予は終了したので、猶予した相続税と利子税(利息の性質)を納めてくださいということになります。

猶予額がすべて確定

・猶予適用農地等について、20%超(面積)の譲渡、貸付、転用、耕作放棄をした場合
・農業相続人が猶予適用農地等での農業経営をやめた場合
・納税猶予摘要継続届出書を提出しなかった場合、など

猶予額の一部(譲渡等部分)が確定

・収用交換等による譲渡等をした場合
・猶予適用農地等について、20%以下(面積)の譲渡、貸付、転用、耕作放棄をした場合
・生産緑地地区内の農地について、買取申出をした場合
・農用地宮内の農地について、農業経営基盤強化促進法に基づく事業により譲渡した場合、など

農業経営をやめると、納税猶予も終了してしまいます

通常、田畑の耕作地となると面積も大きく、一般の市街化区域の宅地であると考えた場合には土地の評価額は非常に高いものとなります。一方、農業投資価格として農地としての評価額は10アール(100m2)あたり20万円~90万円となり、宅地に比べれば評価額は低く抑えられます。その評価額の差が相続税の納税猶予の対象となりますので、猶予される税額そのものも高額になるという傾向があります。納税猶予される税額が高額であるということは、非常に相続税対策に有効であるという反面、農業の継続が困難になった場合や、農地を譲渡したり宅地に転用しようとしたときに、猶予された相続税と猶予された期間に対応する利子税が一気に課されるという可能性もあります。
農地の納税猶予制度の適用には、将来的な農業の継続可能性や、土地の利用計画も考慮しておく必要があります。

メリット:相続対策として農地の納税猶予の効果は大きい。

⇒制度の適用には要件確認が必要です
⇒制度の適用には農業委員会の許可が必要など時間的な余裕が必要です

デメリット:原則として農業の継続が必要で、土地の譲渡や宅地への転用は相続税の納税猶予打ち切りという形で重くの

しかかる可能性がある。

⇒農業経営を将来的に継続できるのかの検討が必要
⇒農業継続ができない場合には早めの相続税の試算による納税資金の確保が必要

・農地として納税猶予を選択せずに、住宅用地として有効利用できないか?
・賃貸物件の取得・建設等で資産の評価減や収入確保はできないか?
・広大地として評価することで評価額を引き下げられないか?、など・・・

農地の納税猶予には、総合的な検討が必要

土地の交換はややこしい

兄ゆずる

「先生、実は私の双子の弟である渡が持っている左京区の土地が欲しいのです」

弟わたる

「先生、実は私も双子の兄である譲が持っている右京区の土地が欲しいのです」

税理士

「双子でいらっしゃいますか。そっくりですね。譲さんが持っている右京区の土地と、渡さんが持っている左京区の土地の価値が等価で同じ用途に使うならば、交換の特例を使うことで所得税の課税を受けずに交換できます。ただし、ご兄弟という親族間での交換ですので、土地の時価が本当に等価であるかどうかなど適用要件は注意してください。それぞれ確定申告も必要ですよ。」

「なるほど、私が持っている右京区の土地と弟の渡が持っている左京区の土地を交換したと確定申告で申告するのですね」

「私の場合は左京区の土地と兄の譲が持っている右京区の土地を交換したと申告するのですね」

税理士

「(ややこしいな・・・)はい。ですが所得税法上、交換というのは、お互いに土地を譲渡するということですから、譲さんが渡さんに右京区の土地を譲渡して、渡さんが譲さんに左京区の土地を譲渡することで、それぞれに譲渡所得が発生しますが、交換の特例を使うことで、それはなかったことにしますよということになります。」

譲・渡

「なるほど、交換といっても譲と渡で譲渡しあうということになるのですね?」

税理士

「そういうことです」

譲・渡

「まさに うりふたつ ということですね」

不動産の取得や譲渡、交換などは一般的に行われるものですが、その性質上、高額な取引となることが多く、結果として課税される金額も大きくなりがちです。税制上の特例も様々なものがありますが、適用要件はくれぐれも注意しましょう。

そんな時は

固定資産の交換の特例 で解決!

1.概要

交換とは譲渡の一形態であり、本来譲渡所得として課税すべきものですが、同一種類の固定資産を交換したような場合には、同一の資産が継続して保有されているのと同様の状態であることから、一定の要件に適合する交換については譲渡がなかったものとみなし、課税を繰り延べるという制度です。

2.適用要件

固定資産の交換の特例には、以下の4つの要件を満たす固定資産の交換について適用があります。

【1】対象となる資産

次に掲げる固定資産の同一区分内での交換であること
(1)土地(借地権等を含む)
(2)建物(附属設備等(建物と一体のものに限る)を含む)
(3)機械及び装置
(4)船舶
(5)鉱業権

【2】所有期間

譲渡資産及び取得資産をそれぞれの所有者が1年以上所有していたこと

【3】用途

取得資産を譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供すること

【4】交換差金等

交換時における譲渡資産と取得資産との価額(時価)の差額が、これらの価額のうちいずれか多い金額の20%以下であること

⇒高い方の時価の20%以上も違う資産を交換した場合には、交換といえず、通常の譲渡所得として扱いますよということ

3.注意事項

特例が受けられる場合

【1】この特例が受けられる場合でも、交換に伴って相手方から金銭などの交換差金を受け取ったときは、その交換差金が所得税の課税対象になります。

⇒交換差金という金銭を受け取っている部分については、譲渡がなかったものとは認めませんよということ

特例を受けるためには

【2】この特例を受けるためには、確定申告書に所定の事項を記載の上、譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]を添付して提出する必要があります。

ポイント

同一資産の等価交換という前提であれば、将来にその土地を処分するまで課税を繰り延べるという制度ですが、交換する資産の時価が大きく違う場合には、交換として認められずに通常の譲渡所得となる場合もあるので注意が必要です。

還付のチカラ

孫娘

「おじいちゃーん 米寿の誕生日おめでとーう。聞こえるー?」

祖父

「えー?」

孫娘

「おじいちゃーん、年金と医療費の確定申告せなアカンのよー」

祖父

「はぁー?」

孫娘

「年金の源泉徴収票と医療費の領収書どこー?」

祖父

「なにぃー?」

孫娘

「こりゃアカンわ、ほんなら還付金の申告やめとこかな」

祖父

「そりゃ困る」

いくつになってもお金は大事なものです。かつて大長寿で有名人となった「金さん銀さん」は、テレビの出演料を何に使うか聞かれまして一言、「老後の資金に」

そんな時は

年金の確定申告 で解決!

年金の確定申告と、確定申告不要制度

年金を受給されている場合、当然にそれらの年金も収入金額として税金の対象となります。しかし、年金受給者の方々にとって毎年の確定申告手続きは煩雑であるという声もあり、平成23年分の所得税から公的年金等にかかる確定申告不要制度が創設されました。
この制度は、公的年金等による収入が400万円以下で、公的年金等以外の雑所得以外の所得が20万円以下の場合には確定申告をしないことも可能とする制度です。

!!注意!!

医療費控除や寄附金控除、マイホームの住宅ローン控除など、所得税の還付を受けたい場合などは確定申告をするほうが有利となる場合もあります。確定申告が不要であるからといって放置してしまうと、税制上の特典も受けられないという点には注意してください。

公的年金等とは

・国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金)
・恩給(普通恩給)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金
・確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金など

公的年金等に係る雑所得以外の所得とは

・生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金(その他の年金)
・給与所得、生命保険の満期返戻金(一時所得)、など

年金の確定申告の必要性

[医療費控除や寄附金控除、住宅ローン控除など申告したほうが有利でないかどうかをチェック]
[住民税の申告が必要でないかをチェック]

※制度対象者でも市区町村に住民税の申告が必要な場合

所得税の確定申告が不要な場合であっても、以下に該当する方は住民税の申告が必要な場合があります。

住民税の申告が必要な場合し

1.公的年金などに係る雑所得のみがある方で、「公的年金などの源泉徴収票」に記載されている控除(社会保険料控除や配偶者控除、扶養控除、基礎控除等)以外の各種控除の適用を受ける場合
2.公的年金などに係る雑所得以外の所得がある場合

所得税の申告不要と住民税の申告不要の条件が違うなど、制度的にまだまだ改善の余地が必要です。困った場合には、各市町村役場の市民税課に問い合わせてみましょう。

どうかしてる話

経理女性

「あっ!!また今月の現金残高が帳簿より10円多い。社長、さっき経費の精算されたでしょう?きちっと現金管理をしておかないと、税務調査であらぬ疑いを抱かれてしまいます。たかが10円玉とはいえ、これでは、どうにもならないでしょう?」

社長

「いや、溶かせば どう にでもなるんじゃない?」

念のためですが、硬貨を溶かすのは犯罪ですのでやめましょう。
現金残高は税務調査では重要なポイントです。現金の残高がマイナスになったり、残高が大きく膨らんだりするのはよくありません。このような会社は資金の管理がずさんであると判断される恐れがあります。
税務調査に備えて、日頃から準備をしておきましょう。これはどうでもいい話ではありません。

そんな時は

新しくなった税務調査制度 で解決!

新しくなった税務調査制度

平成25年1月1日以降、税務調査制度が新しくなりました。
税務調査の透明性及び納税者の予見可能性を高め、調査に当たって納税者の方の協力を促すことで、より円滑かつ効果的な調査の実施と、申告納税制度の一層の充実、発展に資するという観点から改正されました。

結論から言えば、より明確に調査手続が法律に規定されたということですが、従来からの税務調査手続について本質的な変更点はありません。これまで行ってきた税務調査の手続きを法律として定めたという意味合いが強いといえます。

税務調査制度改正の概要(国税通則法改正の概要)

税務調査については、以下のように現行の運用上の取扱いが法令上明確化されました。

(1)税務調査に先立ち、課税庁が原則として事前通知を行う。ただし、課税の公平確保の観点から、一定の場合には事前通知を行わない。

⇒これまでにおいても、税務調査を行う際には会社の顧問税理士や会社へ事前に電話等で税務調査を行う旨を伝えて、お互いの日程を調整したうえで税務調査が行われてきました。その点では、今回の改正はこれまでの運用を法令化したものに過ぎません。変更点としては、明確に事前通知を行う項目が規定されましたので、調査官は以下の項目について必ず調査の前に納税者に通知するものとされた点です。

(1)調査の実施を行う旨
(2)調査を行う納税義務者の氏名、住所等
(3)調査を行う税務職員の氏名及び所属官署
(4)調査の開始日時
(5)調査の開始場所
(6)調査の対象となる税目
(7)調査の対象となる期間
(8)調査の目的
(9)調査の対象となる帳簿書類その他の物件
(10)調査日時や場所の変更がある場合にはその事項
(11)事前通知事項以外の事項で調査すべきことがあると疑われる場合にはその事項も調査できるという旨の通知

上記の項目は、税務調査を行うには必ず必要な項目であるので従来から通知されてきた事項ではありますが、法令で事前に通知することが義務付けられたという点がポイントです。
なお、現金商売での脱税案件など、事前に調査の通知を行うと証拠の隠滅などによって調査に弊害があると判断された場合には、事前通知を行わない点も従来から変わっていません。

(2)課税庁の説明責任を強化する観点から、調査終了時の手続が整備された

今回の改正によって、税務調査を行うことによってその結果を納税者に通知するものとされました。これまでは、税務調査の結果何も修正すべき点がなかった場合や修正すべき点が発見された場合においても、調査官から口頭での結果通知や修正申告の勧奨が行われてきたのが実態です。ともすれば、なんだかわからないうちに調査が終了して、電話一本で「これで調査は終了します。」という連絡がある(又はそれすらない)ということもありました。
今後は、調査の終了に伴って更正決定等をすべきと認められない場合にはその旨が通知され、更正決定等をすべきことが認められる場合には修正申告に関する説明などを記載した書面を交付がなされることになりました。
この点についても、法令上明確化されたとはいえ、従来の調査手続を踏襲している点では変更がありませんが、納税者側としてみれば、はっきりと調査の結果が通知されるというのは改善点といえるでしょう。

どうしても調査結果に納得できない場合

税務調査を受けた結果、修正申告の勧奨をされたがその内容にどうしても納得できないという場合にはどうすればよいのでしょうか。脱税とは違い、ある経理上の処理の税務上の解釈について税務署などの課税庁の言い分に納得できない場合もあります。一方、税務署の調査官にとっても、国税庁からの税務通達に従って税務上の判断をしなければならないため納税者の言い分を何でも聞き入れることはできません。そうなると見解の相違が生じるということになります。
課税庁側の言い分を受け入れ、修正申告に応じるというのはひとつの判断として間違いではありませんが、全く見解が折り合わずどうしても納得できない場合や後で誤りが発見された場合にはどのような手段が残されているのでしょうか。それは以下のような手続きが考えられます。

更正の請求

税法の規定に従って計算した結果よりも誤って多くの税を納めてしまった場合に、税務署長に対して税額を訂正して正しい税額に減額してもらう手続きです。
更正の請求ができる期間は法定申告期限から5年です(平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税から適用。改正前は法定申告期限から1年)

更正又は決定

修正申告をせず、税務署長が強制的に税額を修正又は決定することを言います。
この処分に納税者が納得いかない場合には次の異議申立てを行います。

異議申立て

税務署長によって更正や決定処分を受けた場合に不服がある場合には処分の通知を受けた日の翌日から2か月以内に、税務署長等に対して異議申立てをすることができます。 なお、青色申告書に係る更正処分に不服があるときなどは、異議申立てをせずに、直接、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができます。

審査請求

税務署長等の異議決定を経た後の処分に、なお不服があるときには、異議決定の通知を受けた日の翌日から1か月以内に、国税不服審判所長に対して審査請求をすることができます。

訴訟

国税不服審判所長の裁決があった後の処分に、なお不服があるときには、その裁決があったことを知った日の翌日から6か月以内に、裁判所に訴訟を提起することができます。

以上、大まかに納税者の権利救済制度を見てきましたが、不服審査請求や訴訟は非常に手間や時間、費用のかかる手続きと言わざるを得ません。最近の税務訴訟などでは、納税者側の勝訴判決が増えているといわれていますが、一部でも納税者の主張が認められたものを含めて13.4%(平成23年度国税庁発表資料より)と勝訴の確率が高いとは言えない状況です。
何よりも、上記のような不服審査や訴訟にならないように普段から対策しておくことが一番であるのは言うまでもありません。そうは言っても、税務署側の処分に納得できない場合にはこれらの権利救済手続きを利用することになるでしょう。

ておくれ医者

「先生!コイツがさっきハシゴから落ちまして、助けてやってください!」

医者

「これは、、、残念やけど、手おくれやな。」

「手おくれって、今落ちてすぐですよ!いつなら助かるんですか!?」

医者

「まあ、、、落ちる前ならなんとか」

落ちる前なら助かりますし、申告書の提出期限前なら特例を受けることができます。
さまざまな特例措置は期限内に申告するのを条件に適用できるものがほとんどです。期限後に特例の適用をお願いしても認めてもらえません。
そう、落ちてからでは手遅れになりますよ、落ちる前ならなんとか、、、

そんな時は

租税特別措置法 で解決!

法人税減税などの特別措置など

法人税法や所得税法上の特例は、租税特別措置法という法律で規定されることが多く、さまざまな特例措置が設けられています。しかし、その多くが確定申告書にその特例を受けるための計算明細書などを添付して、申告期限内に手続きを行う必要があります。
申告期限が過ぎた後に、特例を受けることができることが判明しても減税措置を受けることができません。 手遅れになる前に注意しておく必要があります。

法人税における特例措置の例

-中小企業投資促進税制-

中小企業者等が機械等を取得した場合に特別償却又は税額控除を行うことができる制度です。製造業などで、一定規模以上(1台160万円以上)の機械装置などを導入する場合に通常の減価償却費に加えてさらに30%の減価償却費を上乗せすることができるという制度です。製造用の機械を導入したり、入れ替えがある場合にはぜひ使いたい制度です。30%の割り増し償却というのは節税効果としては大きく、投資の早期回収という観点から非常に有効です。
また、この制度には機械装置だけでなくパソコン(1台120万円以上)やソフトウェア(1本70万円以上)の取得でも適用できます。事務効率のアップやムダの削減が叫ばれる中、IT投資が重要な意味を持つようになっています。一時的には大きな買い物であっても、特例を使って早期に回収できれば企業経営の安定化に非常に大きな効果をもたらします。
このほかにも、3.5t以上の貨物自動車や船舶にも特例が適用できます。

-特別償却と税額控除-

中小企業投資促進税制において、特別償却方式と税額控除方式を選択することができるものとなっています。
特別償却方式とは、通常の減価償却費に加えてさらに割増償却を認めるというものです。結局、減価償却を早く計上することを認めるもので、減価償却費全体の合計額は特例を適用しない場合と変わりません。投資の早期回収を目指す方式です。
一方、税額控除方式では、減価償却は通常通りですが、取得価額の一定割合(今回の特例では7%)を法人税額から直接減額します。長い目で見れば、減価償却費の合計に加えてさらに税額控除で法人税が減税されるので、特別償却よりも有利です。
どちらを選択するかは、企業の資金繰り等を勘案して決めるのが良いでしょう。キャッシュが潤沢にあるなら、税額控除でトータルの節税を図り、資金繰りに余裕が無い場合には特別償却でキャッシュアウトを抑えるなどの選択が可能です。

(参考:国税庁ホームページ)
特別償却・特別税額控除の一覧

制度の内容

・中小企業等投資促進税制
(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
・中小企業者等が機械等を賃借した場合の税額控除(リース税額控除)
(平成20年3月31日以前にリース契約を締結した場合)
・人材投資促進税制(教育訓練費の税額控除)
(平成20年3月31日以前に開始した事業年度分)
・中小企業者等における教育訓練費の税額控除
(平成20年4月1日以後開始した事業年度分)
・研究開発税制について(概要)
・試験研究費の総額に係る税額控除制度
・特別試験研究に係る税額控除制度
・中小企業技術基盤強化税制
・情報基盤強化設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除
(平成22年3月31日以前取得分)
・情報基盤強化設備等を賃借した場合の税額控除(リース税額控除)
(平成20年3月31日以前にリース契約を締結した場合)
・中小企業者が情報基盤強化設備等を取得した場合について
・繰越税額控除限度超過額等の繰越控除制度
・平成21年及び平成22年に取得した長期所有土地等の1,000万円特別控除
・エネルギー需給構造改革推進税制
(エネルギー需給構造改革設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
・環境関連投資促進税制
(エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
・子育て支援税制(事業所内託児施設等の割増償却)
・雇用促進税制(雇用者の数が増加した場合の税額控除)
(平成23年6月30日現在法令等)

長期出張

税理士

「社長、長期出張の旅費規程の整備について、経理の方にお聞きしたいことがあるんですが」

社長

「それが先生、金庫をもって2年前に出張したきりでして」

税理士

「それは出張ではないでしょ!」

ときどきタバコを買いに行ったまま帰ってこない人もいるそうですが、、、
出張を頻繁に行う会社では、会社のルールをきちんと決めておくことが節税につながります。

そんな時は

出張旅費の精算と旅費規程の整備 で解決!

旅費規程の整備と日当の支払

ポイント

1.日当を受け取る側では課税されない
2.旅費規程など合理的な基準に基づいて支給
3.役員などでも受け取ることが可能

出張に行くということになれば、宿泊費・交通費のほか、食事代・電話代などの経費が必要となります。いわゆる通勤定期代のように実際にかかった経費を実費弁済するように、日当とは出張の目的や期間、出張者の地位などを勘案して一定額を支給するというものです。
当然に常識を超えるような過大な日当を支給すれば問題ですが、一般的な水準であれば、会社側では経費となり、受け取った従業員の側でも給与として課税されません。

ところで、一般的で常識的な日当の金額とはどの程度のものなのでしょうか。国税庁側の見解は次の2点です

(1)その旅費の支給額が、役員及び使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれた基準によって計算されたものであること
(2)その支給額が同業、同規模の会社が一般的に支給している金額に照らして妥当なものであること
結局いくらまでなら大丈夫なのかはわからないような書きまわしになっています。これは個々の企業によって規模や実態が異なる以上、画一的な水準を示すことができないためと言えます。要するに、出張日当という名目で給与課税を逃れるような行為は認めないが、実際に出張に必要であろう部分の経費については課税せずに認めるという考え方です。

可能であれば、同業種の企業や税理士に日当の水準を聞いてみるのも手です。ただし、基本的には実費弁済的な性格を持つものですから、実際の経費を積み上げて計算した水準におおむね近づくでしょう。
このように、役員や従業員の間で適正なバランスを保たれた基準を具体的にあらわしたものが旅費規程ということになります。税法上、旅費規程の内容について定めたものはありませんが、一般的には役職階級別(役員・管理職・一般職など)、距離別(国内出張・国外出張など)の条件ごとに金額を設定しておくことになります。
しっかりとした基準を作成し、それに基づいて日当を支給すれば節税につながり、税務調査の場合にも認められる可能性が高いものとなるでしょう。

経営は計画的に

経理女性

「今年の決算もできていないのに、来年の計画と言われても困ります!!」

経理男性

「そうは言っても、次年度の計画がなければ動けないじゃないか!!部長もそう思うでしょう?」

経理部長

「まあまあ、ケンカは よさんか」

来年の予算はたてました?
会計には「過去会計」と「未来会計」があります。
後ろも前も重要ですよ!!

そんな時は

決算書と予算計画 で解決!

決算書とは、会社法における「計算書類」をいいます

会社は、通常1年をひとつの事業年度としてとらえます。その事業年度を終えるたびに、その会社の株主に対して会社の業績を報告する必要があります。
この業績報告とは、すでに終了した事業年度の報告ですので、いわば「過去」の業績報告と言うことになります。
一方で、その「過去」の業績報告を参考にして作成されるのが「予算計画」です。
予算計画は法律で作成が義務付けられるものではありませんが、企業経営にとってはむしろ決算書以上に重要であるということができるでしょう。<_p>

会社法における「計算書類」とは、一般的には「財務諸表」又は「決算書」などと呼ばれるものです。
それには、おもに以下のようなものが含まれます。

1、貸借対照表・・・事業年度の最終日(貸借対照表日)におけるすべての資産と負債を表示し、会社の財政状態を表示するためのもの。
プラスの財産や権利とマイナスの財産や債務を一覧に表示することで、会社の規模や健全性などを見るのに有用です。

2、損益計算書・・・ひとつの事業年度内におけるすべての収益と費用を表示し、会社の経営成績を表示するためのもの。
その会社が一年間にどれだけの売上を計上し、どれだけの純利益を生み出したのかを知ることができるものです。
また、その会社の純利益が本業によるものなのか、突発的な理由によるものなのかが表現されています。
本業による利益であれば「営業利益」が大きく、突発的なものであれば「特別利益」が大きくなります。

3、株主資本等変動計算書・・・その事業年度内において、会社に対する出資や増資があった場合、期中に配当があった場合など、会社の資本にかかる動きを表示するためのもの。

4、個別注記表・・・貸借対照表や損益計算書がどのような基準や原則に基づいて作成されているのかを明らかにするもの。 貸借対照表や、損益計算書は会社法に基づいて作成されるものですが、その作成ルールの中には選択適用することができるものがあります。
このような場合には、貸借対照表や損益計算書が、どのような作成ルールに基づいているのかを明らかにしなければ、それらの数値をどのように解釈すればよいのかがわかりません。
また、他社の財務諸表と比較する際にも有用です。

5、その他、会社の業績を総括的に報告する「事業報告」や、計算書類の詳細を記録した「附属明細書」などがあります。
以上のような財務諸表を作成し、その数値を分析することで、次年度の予算計画を立てます。
予算計画の重要な目的の一つには、経営の方向性を確認できるようにするということにあります。
現実に中小企業を経営されておられる方の多くは、経営と現場を両方兼務されている場合がほとんどです。
それ故に、日々の業務は多忙を極めます。
そのような日々の業務を行っておられる際に感じた「感覚」と当初に設定した「予算」、そして一定時点における「実績」、この3つを比較して検討することで、より企業経営が「視える」ようになります。

まだまだ先

社長夫人

「お父さん、この前に言うてた生命保険のこととかちゃんと税理士さんに相談した?ちゃんとできてる?」

社長

「当たり前やないか。相続には生命保険の非課税っていうのがあって、ちゃんと対策してある。」

社長夫人

「それやったらええんよ」

社長

「ええか、会社は子供に任せたし、退職金もお前にやる。もはや思い残すことは何にも無い。わしはもうホンマにいつ死んでもええんや」

社長夫人

「またあんたそんなん言うて。そういえば今日の午後は、出かけますの?」

社長

「ああ、健康診断行くねん。」

いつ死んでも良いと言いながら、栄養ドリンクを飲んでるあなた!!
いずれにしても、備えあれば憂いなし。
一度じっくりこれからのことを検討してみてはいかがでしょうか?

そんな時は

相続税の生命保険・退職金の非課税制度 で解決!

死亡による生命保険金等や退職手当金等は「みなし相続財産」として相続税の対象

死亡によって受け取る生命保険保金や会社から受け取る死亡退職金は、亡くなった人が受け取るのではなく、相続人が受け取るものであるため、民法上の相続財産ではありません。しかし、実質的にこのような死亡保険金や死亡退職金は相続財産を取得したものと同じであると考えられるため、課税の公平の見地から相続税の計算の上では「相続財産とみなす」として、相続税の計算対象となります。

生命保険金等・退職手当金等には、それぞれ500万円×法定相続人の非課税枠あり

死亡による生命保険金や死亡退職金は、「みなし相続財産」として相続税の課税の対象とされますが、本来そのような保険金や退職金は、亡くなった人の遺族のその後の生活を保護するためのものであるという性格を持っています。そのため、このような生命保険金や退職金に対して他の財産と全く同一の取扱いをするのは問題があります。そこで、上記のように相続によって取得したとみなされる相続財産である生命保険金等や退職手当金等の課税については、一定額までは非課税とする規定が設けられています。具体的には以下のような計算式となります。

・生命保険金等 500万円×法定相続人の数
・退職手当金等 500万円×法定相続人の数

例えば、生命保険金等2,000万円を相続人が取得し、法定相続人が3人であれば、500万円×3人で1,500万円までについては相続税が課税されません。
さらに、別途に退職手当金等が2,000万円ある場合には、同じように500万円×3人で1,500万円までは相続税が非課税とされます。

ポイントは、生前の相続対策にあります

死亡による生命保険金等や退職手当金等が相続税の計算上、一定の非課税限度枠が設けられていることになります。すなわち、現金を残すよりも生命保険金や退職金という形で相続させることにより非課税枠を利用することができます。
特に、生命保険金等と退職手当金等のそれぞれで「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を使用できる点がポイントです。
もし、会社を経営されている場合であれば、会社では社長の退職金の準備を行い、一方で個人の生命保険契約を締結することによって両方の非課税枠をフルに使用できます。
このような対策は、当然ながら生前に行う必要があります。また、ある程度長期的な視野によって対策することが必要である点が重要です。

節税のためではなく、残される家族の負担を減らすために、いま一度ご自身の「備え」を確認されてはいかがでしょうか。

結婚のススメ

男A

「実は結婚しようと思うんだが、年末に結婚するのと年明けに結婚するのとでは税金が変わると聞いたんだけど?」

男B

「そうやな。年末までに結婚すればその年から配偶者控除が使えるけど、年明けになれば来年からしか控除が使えへんからな」

男A

「税金が安くなるなら、年内に嫁をもらうしかないか」

男B

「それが年貢の納め時というやつや」

税金が安くなるから結婚する人なんていませんが、制度としてはそうなっとります。

そんな時は

配偶者控除・扶養控除 で解決!

結婚や出産は12月が有利、亡くなるのは1月が有利

税金だけを考えるならば、配偶者控除は結婚した時から受けることができる(その配偶者の合計所得が無いなどの一定の場合)ので、12月31日に結婚したとしても、その年1年分の配偶者控除が受けられます。
さらに、子供が生まれた場合にも、その年から扶養控除を受けることができます。同じように12月31日に生まれても、その年1年分の扶養控除が受けられます。
次に、死んでしまった場合は、その亡くなった人が誰かの扶養控除の対象者であった場合には、1月に亡くなってもその1年分の扶養控除が受けられます。
ということですが、そもそも自分で死ぬ時期をコントロールできるはずもないので、なんとも言い難いところです。
逆に結婚は早い方がよいわけですが、まあそうあせらずにじっくり相手を見極めることをお勧めいたします。

配偶者控除や扶養控除の適用を忘れていませんか?

12月に結婚や出産があった場合、サラリーマンの方などは年末調整がすでに終わっている場合があります。このまま放置すれば、せっかく幸せになり、税金まで還付してもらえるにもかかわらず、そのチャンスを逃してしまうことになります。
年末調整は、翌年の1月31日までに会社でやり直してもらうことが可能です。会社でやり直してもらうことができないならば、確定申告を行えば配偶者控除や扶養控除を適用することが可能です。
その年に亡くなった扶養家族がいる場合も、その亡くなった年まで扶養控除が適用できるにもかかわらず、年末調整で適用していないケースが散見されます。
このような場合にも、年末調整を1月31日までにやり直すか、確定申告をすることで税金を取り戻すことができます。

確定申告では、数年前に配偶者控除や扶養控除を適用せずに年末調整で終わらせていた場合にも、還付を受けることが可能な場合があります。適用忘れがありそうな場合は、あきらめずに一度ご相談ください。

税金トリビア

男A

「垣根にも税金がかかるんだってねぇ」

男B

「へい」

「塀(へい)」や「門扉(もんぴ)」には税金がかかるんです!

そんな時は

財産評価・固定資産税 で解決!

塀や門扉は相続財産として、家屋と別に評価する必要があります

相続税の計算を行う上で、財産の評価は避けて通れません。
亡くなった被相続人の遺産をひとつひとつリストアップし、その評価額を決定していく必要があります。
通常、家屋の財産評価を行う場合、附属設備等は「家屋と構造上一体となっている設備」であれば、その設備は固定資産税の評価額に含まれるため、相続税の評価上改めて評価することはありません。しかし、塀や門扉等の設備は家屋と構造上一体となっていないため、固定資産税の評価額に含まれていません。そのため、家屋とは別に評価しなおす必要があります。この場合の塀、門扉の評価額は以下のようになります。

再建築価額 - 経過年数に応ずる減価の額

要するに、もう一度その塀や門を作りなおしたとする場合の額から、年数に応じた減価償却費を控除するということになります。
このほか、庭園設備なども家屋とは別に評価する必要があります。
門や塀が無い家なんてあり得ない!家屋と一体だ! と言いたいところですが、そうなりませんのでご注意ください。